こんな図書館はイヤだ
深刻な話じゃないですが・・・。「図書館戦争」のアニメ版を見まして、しみじみ思ったわけです。小説を読んでいるときは、主人公目線ではあるし、展開速いし、で怖さがよくわかっていなかった。図書館で銃撃戦が行われているんですよね。館内放送で、いきなり、利用者の方は避難してください、って言われても困る。困るとしかいいようがない。だって、図書館だよ?大概の保護者は、子どもが図書館に行くって言ったら、何の心配も抱かない場所なのに。もちろん、この頃では、盗撮したり痴漢行為を働いたり、などという狼藉者も発生していますが、しかし銃撃戦とはレベルが違います。小説の設定上、死者が11人も出たケースまであって、小さい子どもに図書館に来てね、なんて言えないじゃないですか。
今頃、こんな当たり前のことを言うのも恥ずかしい話です。要は、自分の想像力がなくて、周りの状況が読み取れていなかったんですね。とはいえ、小説そのものを否定するわけではないですよ。表現の自由の危機というテーマはがっちり受けとめました。
仮想の話はそれでいいにしても、最近、またぞろ嫌な話題がありました。ネットのニュースを検索してたら、図書館にまつわる話題が二件。
http://mainichi.jp/select/photo/news/20080705k0000m040137000c.html
こちらは文集(学校でまとめた感想文なんかの類)が個人情報にあたるとして、教育委員会が市立図書館から回収したという事例。
http://mytown.asahi.com/gifu/news.php?k_id=22000000807220003
こっちは住基カードの発行を増やすために、図書館の利用カード単体の発行を停止したというもの。
いずれも行政サイドが図書館に介入してきた事例です。こういうことが起きる背景には、図書館職員が色んな意味で弱くなってきているのだろう、と思います。正直、行政当局に対して、きちんと説明できる立場にある図書館職員=正規雇用かつ司書が人数的に圧倒的に少なく、非常に弱い立場にあるという現実から目をそらしてはいけないのでしょう。いかに上手に意見を通していくか、思案のしどころです。
本日のお品書き
螺鈿迷宮 /海堂尊/著 [本] 販売元:セブンアンドワイ ヤフー店 セブンアンドワイ ヤフー店で詳細を確認する |
海堂さんも小説を通して現在の医療行政と闘っている方で、偉そうですが、ある意味、仲間意識を持ってしまいます。
この作品は留年し続けの医大生の一人称なので、若干、これまでよりセンチメンタルな感じを受けたのですが、終末期医療に関する作者の主張は根底に強く流れていました。
介護保険が導入され、介護保険料も払うことになり、老人医療は定額制から1割または3割負担になり、それでもおっつかないので後期高齢者医療制度を導入し、でもまだ足りないので消費税を上げるかも・・・。多少とも保険医療の仕事をした身としては、猫の目行政をやめるだけでずいぶんと経費が節減できるように思えるのですが、どうなんでしょう?
作品の終わりに、ずいぶん歯切れが悪く、暗い予感が漂うシーンがあるのが気になります。現実というのは、やはり個人の多少の努力で解決ができるものではないのかもしれません。それでも、主人公が医師としての道を進むことを選ぶ姿が救いです。
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