奇妙な物語
なかなか録画しておいた舞台が見られないのですが、ようやく一作見ました。2009年にシアタートラムで上演された作品。
本日のお品書き=『楽屋~流れ去るものはやがてなつかしき~』
チェーホフの「かもめ」が上演されている舞台の楽屋。熱心にメイクをする女優が二人。そこへ主演女優が入ってきて、セリフのおさらいをします。ん、でも、変じゃない? メイクをしている女優(渡辺えりさんと小泉今日子さん)がいるのだから、多少は挨拶なり、会釈なりするんじゃなかろうか。
そうこうするうちに楽屋から舞台に向かった主演女優が、忘れた帽子を取りに戻ったのだけれど、床に置いた帽子のふちを小泉さんが踏んでいるので持ちあげることができません。普通、そんな嫌がらせしたら、何しているのって文句も言うもんじゃなかろうか。なのに、主演女優は何も言わない。ようやく帽子を持ちあげることができて、二人がいる辺りを見ながら「よどんだ空気がたまっているんだから」と、吐き捨てるように言って、再び舞台に向かう彼女。
つまり、あれですか、この二人、生きている人間じゃない・・・。というのを、実はだいぶ後になってから気が付いたあたし。渡辺さんと小泉さんの掛け合いがあんまり生き生きしているので、変だなぁって感じでスルーしてしまってました。
この掛け合いっていうのは、永遠のプロンプターで、きちんとした役で舞台に立ったことのない女優二人の舞台への想いをこめて、色んな役を演じ合うシーンなんですが、見入ってしまいました。
二人の掛け合いが一段落したら、白いワンピースに大きな枕を抱えた若い娘(蒼井優さん)が登場します。二人に気づくはずもなく楽屋の隅の椅子に座ります。この娘、主演女優に抱えていた枕と交換に主役を自分によこすように迫ります。
四人の舞台に立つことを請い願う女優たちの想いがぶつかりあう後半は鬼気迫るものがありました。約1時間半の、比較的短いお芝居ですが、たいへん見応えがありました。
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