やってしまった
元々シリーズものとして出版される予定のない本は、シリーズ名がないし、○巻とも△号ともなっていないことが多々あります。なので、面白そうだから読んでみようって手に取った本が実はシリーズもので、しかも前の作品読んでた方が絶対面白かった(一応、一冊で完結はしていても、人間関係とかがね)に違いなかったりするとダメージ大きいです。
で、やっちまいました。それでもいい作品なのでご紹介したく。
本日のお品書き
動物園の鳥 (創元推理文庫) 著者:坂木 司 |
シリーズ名は特にないようですが、作者あとがきでは「鳥井と坂木のお話」とあります。この鳥井君と坂木君が出てくる作品は『青空の卵』、『仔羊の巣』とあり、この『動物園の鳥』が一応の完結作となります。・・・一応。美味しい食べ物がたくさん出てくる小説を好むあたくしとしては、ぜひ続きが読みたいので、仮の完結、例えば第一部完結みたいに思いたいですが。
さて、坂木君と同じように涙もろい(アンパンマンの映画で号泣してしまった時は自分でもどうかと思った)ので、この作品に出てくるシチュエーションでは、坂木君とシンクロ率100%じゃないかと感じました。それにしても自分が中高生の頃のいじめって、こんなんだったろうか? いや、いじめのない平和な学校生活だったと誇りたいわけではなく、暴力をふるわれたりとか物を盗られたりとかはなかったので。小学校の時は取っ組み合いの喧嘩みたいのもあったけど、こういう陰湿ないじめは覚えがない。健忘症なだけかもしれませんが。
話がそれましたが・・・。要は、いじめは人間性を思いっきりゆがめてしまうほど苦しい体験なんだってことで。言葉として書くと、どうしても軽くなってしまうのが悔しいくらいなのですが、そんな体験を乗り越えるのも、周りの人との人間関係なんだなぁ、と。
いじめは、このお話の横軸で、縦軸は動物園で起こった動物虐待事件です。これをひきこもり探偵の鳥井君が解決していくというもの。そこには驚天動地なトリックもなければ、ドロドロとした怨念もなく、ただそれだけにやるせない気持ちになるような事実が現れます。でも、事件が明らかになる過程で、事件に関わる人の心が変化していくのが良いのです。
おそらく、現実はそんなに甘いもんじゃないぜっていうハードボイルド派の方たちには合わないかもしれませんが、小さなこと、ささやかな日常の大切さを知っている方たちには合いそうです。
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