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身につまされる

 NHKの芸術劇場は、お芝居が実際に公演してから早い時期にテレビ放映をしてくださるのがありがたいです。今年の4月に世田谷パブリックシアターでの公演「かたりの椅子」。主演の竹下景子さんを軸に個性のある(陳腐な表現ですみません)役者さんたちが繰り広げる実際にありそうな文化事業をめぐる顛末。

 実際にありそうな、と書いたのは、自分もこういった事業を行う部署に近しいところにいるからなのですが・・・。まあ、本当にこういう理事長がいるとはいいませんが、ハンコがもらえなくて事業がなかなか進まなかったり、な~んてことはあることなのですよね。お芝居では、事業を進めたくないための言い訳に使われていましたが、単純に考えても上の方のハンコをもらおうと思えば思うほど、相手方が不在だったり、おられても十分に説明の時間が取れなかったり・・・。は、愚痴になってしまった。

 それにしても、ものすごく普通の人たちが、最初はごくごく普通の意見、少なくとも、こういうことが起これば、それに対してこういう反応をするであろう、そう思える言動が、だんだんずれていって、まさに「私は私でなくなっ」ていく恐怖をしみじみ感じました。

 話は変わりますが、舞台装置も面白かったです。一見、何の大道具もなく、照明と役者の動きだけで会議場だったり、アトリエだったりする舞台。奥にある壁とその壁に開けられた窓状の空間。これが様々な役割を果たしていきます。シンプルな舞台装置が、心の大きな波を鮮明にしていく感じでした。

 こういう面白いお芝居をテレビで見るたび、やっぱり同じ空間にいたかったなぁと思いましたよ。

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